テンプレートと,それと重なる領域の画像とを比較します.
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この関数は, CalcBackProjectPatch と類似した関数です.画像 image 全体に対してテンプレート templ をずらしながら,それとサイズ の重なり領域とを指定された方法で比較し,その結果を result に格納します.ここでは,それぞれの比較手法の式を示します( は image , は template , は result を表します).総和演算は,テンプレートと重なり領域の,どちらか片方あるいは両方に対して行われます:
method=CV_TM_SQDIFF
method=CV_TM_SQDIFF_NORMED
method=CV_TM_CCORR
method=CV_TM_CCORR_NORMED
method=CV_TM_CCOEFF
ここで,
です.
method=CV_TM_CCOEFF_NORMED
比較計算が終わると,関数 MinMaxLoc を用いて最も良いマッチング結果を,最小値( CV_TM_SQDIFF )や最大値( CV_TM_CCORR )として検出できます.カラー画像の場合,分母や分子のそれぞれの総和演算は,全てのチャンネルに対して行われます(それぞれチャンネルで,それぞれの平均値が用いられます).
ここで述べられる物体検出器は, Paul Viola Viola01 によって最初に提案され,Rainer Lienhart Lienhart02 によって改良されたものです.まず,分類器(つまり, haar-like特徴を用いるブースティングされた分類器のカスケード )は,数百の正例と負例によって学習されます. 正例とは,同一のサイズ(例えば, )にスケーリングされた特定の物体(つまり,顔や車)を含むサンプル画像であり,負例とは,正例と同一サイズの任意の画像です.
学習が終わると,分類器は入力画像の(学習に用いられた物と同じサイズの)ROI に対して適用されます.その領域に物体(顔や車)が写っていると思われる場合は,分類器は「1」を出力し,それ以外では,「0」を出力します.画像全体から物体を探索するためには,画像中の探索窓を移動させながら,その個々の領域を分類器を用いて判別します.学習時とは異なるサイズの物体も検出できるように,分類器は簡単に「サイズ変更」できるように設計されており,これは画像自体のサイズを変更するよりも効率的です.そして,画像中からサイズ不明の物体を検出するためには,異なるスケールで複数回の探索処理が必要です.
分類器の名前にある「カスケード」という単語は,最終的に得られる分類器がいくつかの単純な分類器( stages )から構成される,という事を意味しています.この単純な分類器たちが ROI に対して次々に適用され,物体候補は,いずれかのステージで却下されるか,あるいは全てのステージを通過します.また,「ブーストされた」という単語は,カスケードの各ステージにおける単純な分類器自身が複合体である事を意味します.これらの単純な分類器は基本分類器から構成され,それには4種類の ブースティング 技法(重み付き投票)の内の1つが利用されます.現在のところ,Discrete Adaboost,Real Adaboost,Gentle Adaboost そして Logitboost がサポートされています.ここで利用される基本分類器は,少なくとも2つの葉を持つ決定木です. Haar-like 特徴はこの基本分類器の入力であり,その算出方法については後述します.現在のアルゴリズムでは次のような Haar-like 特徴を用いています:
個々の分類器で用いられる特徴は,形状(1a, 2b など),ROI 内での位置,スケール(このスケールは検出ステージで用いられるスケールとは別物ですが,これら2つのスケールは乗じられます)によって規定されます.例えば,ライン特徴の3番目(2c)の場合,(2つの白ストライプと中央の黒ストライプを含む)特徴全体の矩形部分の画像ピクセルの和と,黒ストライプ部分の画像ピクセルの和を(領域サイズの違いを相殺するために)3倍したもの,との差分が出力となります.矩形領域全体のピクセル値の合計は,インテグラルイメージ(以下の説明,および Integral を参照してください)を用いて高速に計算されます.
物体検出器の動作を知りたい場合は,HaarFaceDetectデモを参照してください.
このリファレンスでは,検出部分についてのみ述べます.サンプル集合を用いて,ブーストされた分類器のカスケードを学習する haartraining と呼ばれる独立したアプリケーションが存在します.詳細は opencv/apps/haartraining を参照してください.
ブーストされた Haar 分類器の構造体.
#define CV_HAAR_FEATURE_MAX 3
/* haar 特徴は適切な重みを持つ 2個,あるいは 3個の矩形から構成されます */
typedef struct CvHaarFeature
{
int tilted; /* 0 は,まっすぐな特徴,1 は,45度回転した特徴を意味します */
/* 2,3 個の矩形の重みは正負の符号を持ち,その絶対値は矩形の面積に反比例します.
rect[2].weight != 0 の場合,特徴は3個の矩形から構成され,
そうでない場合は2個の矩形から構成されます */
struct
{
CvRect r;
float weight;
} rect[CV_HAAR_FEATURE_MAX];
}
CvHaarFeature;
/* 単一決定木による基本分類器(最も単純な場合は stump).これは個々の画像位置
においての,特徴に対する応答(つまりウィンドウ内の部分矩形におけるピクセルの合計値)
を返し,それに依存する値を出力します */
typedef struct CvHaarClassifier
{
int count; /* 決定木のノード数 */
/* これらは「並列」な配列です.それぞれのインデックス ``i`` が,
決定木のノードに対応します(ルートノードのインデックスは0).
left[i] - 左側の子のインデックス
(左側の子が葉だった場合には負のインデックス)
right[i] - 右側の子のインデックス
(右側の子が葉だった場合には負のインデックス)
threshold[i] - 枝の閾値.特徴に対する応答が <= threshold となる場合は左側の枝が選択され,
そうでない場合は右の枝が選択されます.
alpha[i] - 葉に対応する出力値. */
CvHaarFeature* haar_feature;
float* threshold;
int* left;
int* right;
float* alpha;
}
CvHaarClassifier;
/* 基本分類器を組み合わせてブーストした分類器(=ステージ分類器):
基本分類器の応答の合計が ``threshold`` よりも
大きい場合は1を返し,そうでない場合は0を返します */
typedef struct CvHaarStageClassifier
{
int count; /* ステージ分類器に含まれる基本分類器の個数 */
float threshold; /* ステージ分類器で利用される閾値 */
CvHaarClassifier* classifier; /* 基本分類器の配列 */
/* これらのフィールドは,ステージ分類器を,
単純に一直線につながったカスケード構造だけでなく,
木構造で表現するために利用されます */
int next;
int child;
int parent;
}
CvHaarStageClassifier;
typedef struct CvHidHaarClassifierCascade CvHidHaarClassifierCascade;
/* ステージ分類器のカスケードまたは木構造 */
typedef struct CvHaarClassifierCascade
{
int flags; /* シグネチャ */
int count; /* ステージ数 */
CvSize orig_window_size; /* オリジナルの物体サイズ
(このカスケードは,これを学習対象とします) */
/* これら 2 つのパラメータは cvSetImagesForHaarClassifierCascade によって設定されます */
CvSize real_window_size; /* 現在の物体サイズ */
double scale; /* 現在のスケール */
CvHaarStageClassifier* stage_classifier; /* ステージ分類器の配列 */
CvHidHaarClassifierCascade* hid_cascade; /* cvSetImagesForHaarClassifierCascade
によって生成されるカスケードの,
隠れ最適表現 */
}
CvHaarClassifierCascade;
すべての構造体は,ブーストされたHaar分類器のカスケードを表現するために用いられます.このカスケードは次のような階層構造を持っています:
begin{verbatim} Cascade:
- Stage,,1,,:
- Classifier,,11,,:
- Feature,,11,,
- Classifier,,12,,:
- Feature,,12,,
...
- Stage,,2,,:
- Classifier,,21,,:
- Feature,,21,,
...
...
end{verbatim} 階層構造全体は,手動で構成されるか,あるいは関数 LoadHaarClassifierCascade を用いて,ファイルや内蔵のデータベースから読み込まれます.
ファイル または OpenCV内に組み込まれた分類器データベースから,学習されたカスケード分類器を読み込みます.
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この関数は,ファイル または OpenCV内に組み込まれた分類器データベースから,学習されたHaar分類器のカスケードを読み込みます.学習は,アプリケーション haartraining を用いて行うことができます(詳しくは,opencv/apps/haartraining を参照してください).
この関数は,廃止されます .現在では,物体検出分類器はディレクトリではなく XML/YAML ファイルに保存されます.ファイルからカスケードを読み込むためには,関数 Load を利用してください.
..
typedef struct CvAvgComp {
CvRect rect; /* オブジェクトを内包する矩形(グループの平均矩形) / int neighbors; / グループ内に存在する隣接矩形の数 */
} CvAvgComp;
param image: この画像の中から物体を検出する param cascade: Haar分類器カスケードの内部表現 param storage: 物体候補の矩形列を保存するメモリストレージ param scale_factor: スキャン毎にスケーリングされる探索窓のスケーリングファクタ.たとえば,これが1.1ならば,探索窓が10 % 大きくなります %–
param scale_factor: The factor by which the search window is scaled between the subsequent scans, 1.1 means increasing window by 10 % param min_neighbors: (これから1を引いた値が)物体を表す矩形を構成する近傍矩形の最小数. min_neighbors -1 より少ない数の矩形しか含まないグループは,全て棄却されます. min_neighbors が0 の場合は,グループ化が行われずに,物体の候補となる個々の矩形が全て返されます.これは,ユーザが独自のグループ化処理を行いたい場合に有用です param flags: 処理モード.現在は, CV_HAAR_DO_CANNY_PRUNING のみ有効です.このフラグが指定されている場合,関数はCannyエッジ検出器を利用し,非常に多くのエッジを含む(あるいは非常に少ないエッジしか含まない)画像領域を,探索物体を含まない領域であると見なして棄却します.特定の閾値は顔検出用に調整されており,この場合,枝刈りにより処理が高速化されます param min_size: 探索窓の最小サイズ.デフォルトでは,分類器の学習に用いられたサンプルのサイズが設定されます(顔検出の場合は )
この関数は,与えられた画像から,カスケードの学習対象となった物体を含むであろう矩形領域を検出し,それらの領域を矩形のシーケンスとして返します.これは,画像のスキャンを異なるスケールで複数回行います( SetImagesForHaarClassifierCascade を参照してください).毎回,各スケールにあった画像領域を処理対象とし, RunHaarClassifierCascade を用いて,分類器をこの領域に適用します.また,判別する領域数を減らすために,Cannyエッジ検出器を用いた枝刈り処理のようなヒューリスティックな手法を適用することもあります.処理された物体候補矩形(分類器カスケードに渡された領域)が集められると,それらはグループ化され,さらに十分に大きいグループの平均矩形のみがシーケンスとして返されます.デフォルトパラメータ( scale_factor =1.1, min_neighbors =3, flags =0)は,正確ではあるが低速な物体検出用に調整されたものです.実際の動画像に対する,より高速な処理のためには,以下のような値が考えられます: scale_factor =1.2, min_neighbors =2, flags = CV_HAAR_DO_CANNY_PRUNING , min_size = あり得る最小の顔サイズ (例えばビデオ会議の場合は,画面全体の 1/4 から 1/16 )
#include "cv.h"
#include "highgui.h"
CvHaarClassifierCascade* load_object_detector( const char* cascade_path )
{
return (CvHaarClassifierCascade*)cvLoad( cascade_path );
}
void detect_and_draw_objects( IplImage* image,
CvHaarClassifierCascade* cascade,
int do_pyramids )
{
IplImage* small_image = image;
CvMemStorage* storage = cvCreateMemStorage(0);
CvSeq* faces;
int i, scale = 1;
/* このフラグが指定された場合,(おそらく)クオリティを落とさずに
ブースティングのパフォーマンスを上げるために,入力画像をダウンスケールします */
if( do_pyramids )
{
small_image = cvCreateImage( cvSize(image->width/2,image->height/2), IPL_DEPTH_8U, 3 );
cvPyrDown( image, small_image, CV_GAUSSIAN_5x5 );
scale = 2;
}
/* 高速に検出できるように引数を調整します */
faces = cvHaarDetectObjects( small_image, cascade, storage, 1.2, 2, CV_HAAR_DO_CANNY_PRUNING );
/* すべての矩形を描画します */
for( i = 0; i < faces->total; i++ )
{
/* 矩形だけを取り出します */
CvRect face_rect = *(CvRect*)cvGetSeqElem( faces, i );
cvRectangle( image, cvPoint(face_rect.x*scale,face_rect.y*scale),
cvPoint((face_rect.x+face_rect.width)*scale,
(face_rect.y+face_rect.height)*scale),
CV_RGB(255,0,0), 3 );
}
if( small_image != image )
cvReleaseImage( &small_image );
cvReleaseMemStorage( &storage );
}
/* 画像ファイル名とカスケードのパスをコマンドラインから受け取ります */
int main( int argc, char** argv )
{
IplImage* image;
if( argc==3 && (image = cvLoadImage( argv[1], 1 )) != 0 )
{
CvHaarClassifierCascade* cascade = load_object_detector(argv[2]);
detect_and_draw_objects( image, cascade, 1 );
cvNamedWindow( "test", 0 );
cvShowImage( "test", image );
cvWaitKey(0);
cvReleaseHaarClassifierCascade( &cascade );
cvReleaseImage( &image );
}
return 0;
}
カスケードの隠れ表現に,インテグラルイメージを割り当てます.
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この関数は,画像と探索窓スケールのどちらか,あるいは両方を分類器のカスケードの隠れ表現に割り当てます.画像のポインタがNULLである場合,前回セットされた画像が再び用いられます(つまり,NULLは「画像を変更しない」という意味です).スケールパラメータにはこのようなデフォルト値がありませんが,関数 GetHaarClassifierCascadeScale によって前回の値を取得し,それを再利用することは可能です.この関数は,特定の画像から特定サイズの物体を検出するカスケードを準備するために利用されます.また,この関数は HaarDetectObjects によって内部的に呼び出されますが,低レベルな関数 RunHaarClassifierCascade を利用する場合は,ユーザが呼び出すこともできます.
Haar分類器カスケードを解放します.
Parameter: | cascade – 解放するカスケード分類器へのダブルポインタ.ポインタは,この関数によってクリアされます |
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この関数は,手動で作成された,あるいは LoadHaarClassifierCascade や Load によって読み込まれたカスケード分類器を解放します.
与えられた画像位置において,ブーストされた分類器のカスケードを実行します.
パラメタ: |
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この関数は,ブーストされた分類器のカスケードをある特定の画像位置で動作させます.この関数を使う前に, SetImagesForHaarClassifierCascade を用いて,インテグラルイメージと適切なスケール(探索窓サイズ)をセットしなければいけません.この関数は,判別対象領域が全ての分類器ステージを通過した(つまり,物体候補となった)場合は正の値を返し,そうでない場合は0か負の値を返します.