CXCORE リファレンス マニュアル
- 基本構造体(Basic Structures)
- 配列操作(Operations on Arrays)
- 動的構造体(Dynamic Structures)
- 描画関数(Drawing Functions)
- データ永続性と実行時型情報(Data Persistence and RTTI)
- ファイルストレージ(File Storage)
- データの書き込み(Writing Data)
- データの読み込み(Reading Data)
- 実行時型情報と汎用関数(RTTI and Generic Functions)
- その他の関数(Miscellaneous Functions)
- エラーハンドリングとシステム関数(Error Handling and System Functions)
データ永続性と実行時型情報(Data Persistence and RTTI)
データの読み込み(Reading Data)
データはファイルストレージから二つの段階を経て取り込まれる.まず要求されたデータを含むファイルノードを探索し, その後にそのノードから手動,もしくは特別なreadメソッドを用いて取り込む.
GetRootFileNode
ファイルストレージのトップレベルノードの一つを取り込む
CvFileNode* cvGetRootFileNode( const CvFileStorage* fs, int stream_index=0 );
- fs
- ファイルストレージ.
- stream_index
- 0から始まるストリームのインデックス. cvStartNextStreamを参照. 多くの場合,ファイル中に存在するのは一つのストームであるが,複数にもなり得る.
関数cvGetRootFileNodeは,トップレベルファイルノードの一つを返す. トップレベルノードは名前を持たず,それらはストリームに相当し,ファイルストレージ内に次々と保存されている. インデックスが範囲外の場合,この関数はNULLポインタを返す. この関数にstream_index=0,1,...を順に指定して呼び出し,NULLポインタが返されるまで繰り返すことで, すべてのトップレベルノードを得ることができる.この関数はファイルストレージの再帰的な走査のために使われる.
GetFileNodeByName
マップ内またはファイルストレージ内からノードを探索する
CvFileNode* cvGetFileNodeByName( const CvFileStorage* fs,
const CvFileNode* map,
const char* name );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数は一番最初のものから開始して,全てのトップレベルノード(ストリーム)内を探索する.
- name
- ファイルノード名.
関数cvGetFileNodeByNameは,nameのファイルノードを探索する. ノードの探索はmap内で行われ,ポインタがNULLであれば,ストレージのトップレベルファイルノードを含めて行なわれる. マップに対してこの関数を,シーケンスに対してcvGetSeqElem (またはシーケンスリーダ)を用いることで,ファイルストレージの走査が可能になる. あるキーに対する複数のクエリを高速に処理する(例えば構造体の配列など)ためには,cvGetHashedKeyと cvGetFileNodeを組み合わせて使うと良い.
GetHashedKey
与えた名前に対する固有なポインタを返す
CvStringHashNode* cvGetHashedKey( CvFileStorage* fs, const char* name,
int len=-1, int create_missing=0 );
- fs
- ファイルストレージ.
- name
- ノード名.
- len
- 名前の長さ(事前に分かっている場合),または計算する必要がある場合は-1.
- create_missing
- absent keyをハッシュテーブルに追加するかどうかを指定するフラグ.
関数cvGetHashedKeyは,特定のファイルノード名に対して固有なポインタを返す. このポインタは関数cvGetFileNodeByName より高速な関数cvGetFileNodeに渡すことができる. 後者の関数は文字列の内容を比較するのではなく,ポインタの比較により文字列を比較するためである.
次の例では,点列が二つのエントリを持つマップのシーケンスとして表されている.例えば,
%YAML:1.0 points: - { x: 10, y: 10 } - { x: 20, y: 20 } - { x: 30, y: 30 } # ...そこで,ハッシュ化された"x"と"y"のポインタを得ることで,点のデコードを高速化することが可能になる.
(例)ファイルストレージから構造体の配列を読み込む
#include "cxcore.h" int main( int argc, char** argv ) { CvFileStorage* fs = cvOpenFileStorage( "points.yml", 0, CV_STORAGE_READ ); CvStringHashNode* x_key = cvGetHashedNode( fs, "x", -1, 1 ); CvStringHashNode* y_key = cvGetHashedNode( fs, "y", -1, 1 ); CvFileNode* points = cvGetFileNodeByName( fs, 0, "points" ); if( CV_NODE_IS_SEQ(points->tag) ) { CvSeq* seq = points->data.seq; int i, total = seq->total; CvSeqReader reader; cvStartReadSeq( seq, &reader, 0 ); for( i = 0; i < total; i++ ) { CvFileNode* pt = (CvFileNode*)reader.ptr; #if 1 /* 高速バージョン */ CvFileNode* xnode = cvGetFileNode( fs, pt, x_key, 0 ); CvFileNode* ynode = cvGetFileNode( fs, pt, y_key, 0 ); assert( xnode && CV_NODE_IS_INT(xnode->tag) && ynode && CV_NODE_IS_INT(ynode->tag)); int x = xnode->data.i; // あるいは x = cvReadInt( xnode, 0 ); int y = ynode->data.i; // あるいは y = cvReadInt( ynode, 0 ); #elif 1 /* 低速バージョン.x_keyとy_keyを使わない */ CvFileNode* xnode = cvGetFileNodeByName( fs, pt, "x" ); CvFileNode* ynode = cvGetFileNodeByName( fs, pt, "y" ); assert( xnode && CV_NODE_IS_INT(xnode->tag) && ynode && CV_NODE_IS_INT(ynode->tag)); int x = xnode->data.i; // あるいは x = cvReadInt( xnode, 0 ); int y = ynode->data.i; // あるいは y = cvReadInt( ynode, 0 ); #else /* 超低速だが使いやすいバージョン */ int x = cvReadIntByName( fs, pt, "x", 0 /* デフォルト値 */ ); int y = cvReadIntByName( fs, pt, "y", 0 /* デフォルト値 */ ); #endif CV_NEXT_SEQ_ELEM( seq->elem_size, reader ); printf("%d: (%d, %d)¥n", i, x, y ); } } cvReleaseFileStorage( &fs ); return 0; }
マップヘのアクセス方法に関わらず,単純なシーケンスを使うものに比べて,これはまだかなり低速であることに注意してほしい. 例えば上の例においては,点を一つのシーケンスにおける整数のペアとしてエンコードする方がより効率的である.
GetFileNode
マップまたはファイルストレージ内のノードを見つける
CvFileNode* cvGetFileNode( CvFileStorage* fs, CvFileNode* map,
const CvStringHashNode* key, int create_missing=0 );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数はトップレベルノードを探す.もしmapとkeyの両方がNULLの場合には, この関数はトップレベルノードを持つマップであるルートファイルノードを返す.
- key
- cvGetHashedKeyで取得されるノード名ヘの唯一のポインタ.
- create_missing
- absent nodeをマップに追加するかどうかを指定するフラグ.
関数cvGetFileNodeは,ファイルノードを見つける. これはcvGetFileNodeByName (cvGetHashedKeyを参照)の高速バージョンである. マップ内に無い場合,この関数は(パースを行う関数が利用して)新しいノードを挿入することが可能である.
GetFileNodeName
ファイルノードの名前を返す
const char* cvGetFileNodeName( const CvFileNode* node );
- node
- ファイルノード.
関数cvGetFileNodeNameファイルノードの名前を返す. ファイルノードが名前を持たないか,nodeがNULL の場合にはNULLを返す.
ReadInt
ファイルノードから整数値を読み込む
int cvReadInt( const CvFileNode* node, int default_value=0 );
- node
- ファイルノード.
- default_value
- nodeがNULLの場合の戻り値.
関数cvReadIntは,ファイルノードで表現された整数値を返す. ファイルノードがNULLの場合,default_valueを返す (つまり,cvGetFileNodeの直後でNULLポインタのチェックを行わず,この関数を使うと便利である). ファイルノードがCV_NODE_INT型を持つ場合,node->data.iを返す. ファイルノードがCV_NODE_REAL型を持つ場合,node->data.fを整数に変換して返す. それ以外の場合,戻り値は不定である.
ReadIntByName
ファイルノードを探索し,その値を返す
int cvReadIntByName( const CvFileStorage* fs, const CvFileNode* map,
const char* name, int default_value=0 );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数はトップレベルノードを探索する.
- name
- ノード名.
- default_value
- ファイルノードが見つからない場合の戻り値.
関数cvReadIntByNameは,cvGetFileNodeByName とcvReadIntの単純な合成である.
.ReadReal
ファイルノードから浮動小数点型の値を取り込む
double cvReadReal( const CvFileNode* node, double default_value=0. );
- node
- ファイルノード.
- default_value
- nodeがNULLの場合の戻り値.
関数cvReadRealは,ファイルノードで表現される浮動小数点型の値を返す. ファイルノードがNULLの場合,default_valueを返す (つまり,cvGetFileNodeの直後でNULLポインタのチェックを行なわず,この関数を使うと便利である). ファイルノードが CV_NODE_REAL型を持つ場合,node->data.fを返す. ファイルノードがCV_NODE_INT型を持つ場合,node->data.fを浮動小数点型に変換して返す. それ以外の場合,戻り値は不定である.
ReadRealByName
ファイルノードを探してその値を返す
double cvReadRealByName( const CvFileStorage* fs, const CvFileNode* map,
const char* name, double default_value=0. );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数はトップレベルノードを探す.
- name
- ノード名.
- default_value
- ファイルノードが見つからない場合の戻り値.
関数cvReadRealByNameは,cvGetFileNodeByName とcvReadRealの単純な合成である.
ReadString
ファイルノードから文字列を取り出す
const char* cvReadString( const CvFileNode* node, const char* default_value=NULL );
- node
- ファイルノード.
- default_value
- nodeがNULLの場合の戻り値.
関数cvReadStringは,ファイルノードで表現された文字列を返す. ファイルノードがNULLの場合にはdefault_valueを返す (つまり,cvGetFileNodeの直後でNULLポインタのチェックを行なわず,この関数を使うと便利である). ファイルノードがCV_NODE_STR型を持つ場合にはnode->data.str.ptrを返す. それ以外の場合,戻り値は不定である.
ReadStringByName
ファイルノードを探索して,その値を返す
const char* cvReadStringByName( const CvFileStorage* fs, const CvFileNode* map,
const char* name, const char* default_value=NULL );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数はトップレベルノードを探索する.
- name
- ノード名.
- default_value
- ファイルノードが見つからない場合の戻り値.
関数cvReadStringByNameは,cvGetFileNodeByNameと cvReadStringの単純な合成である.
Read
オブジェクトをデコードし,そのポインタを返す
void* cvRead( CvFileStorage* fs, CvFileNode* node,
CvAttrList* attributes=NULL );
- fs
- ファイルストレージ.
- node
- ルートオブジェクトノード.
- attributes
- 使用されないパラメータ.
関数cvReadは,ユーザオブジェクトをデコードし (オブジェクトをファイルストレージのサブツリーからネイティブな表現で作成),それを返す. デコードされるオブジェクトは,readメソッドをサポートする登録された型のインスタンスでなけらばならない (CvTypeInfoを参照). オブジェクトの型はファイル内でエンコードされた型名で決定される. もしオブジェクトが動的構造体の場合,メモリストレージ内にも生成され, cvOpenFileStorageに渡される. ここでNULLポインタが渡された場合,一時的なメモリストレージの中ではcvReleaseFileStorage が呼ばれた時に解放される. もしオブジェクトが動的構造体でない場合,ヒープ内に生成され,特別な関数か標準のcvRelease を使って解放する必要がある.
ReadByName
オブジェクトを探索し,デコードする
void* cvReadByName( CvFileStorage* fs, const CvFileNode* map,
const char* name, CvAttrList* attributes=NULL );
- fs
- ファイルストレージ.
- map
- 親マップ.NULLの場合,この関数はトップレベルノードを探索する.
- name
- ノード名.
- attributes
- 使用されないパラメータ.
関数cvReadByNameは,cvGetFileNodeByName とcvReadの単純な合成である.
ReadRawData
複数の数値を読み込む
void cvReadRawData( const CvFileStorage* fs, const CvFileNode* src,
void* dst, const char* dt );
- fs
- ファイルストレージ.
- src
- 数値を読み込むファイルノード(シーケンス).
- dst
- 書き込み先の配列へのポインタ.
- dt
- 配列の個々の要素の仕様.仕様はcvWriteRawDataと同じ.
関数cvReadRawDataは,スカラーのシーケンスで表されたファイルノードから要素を読み込む.
StartReadRawData
ファイルノードのシーケンスリーダの初期化
void cvStartReadRawData( const CvFileStorage* fs, const CvFileNode* src,
CvSeqReader* reader );
- fs
- ファイルストレージ.
- src
- 読み込むファイルノード(シーケンス).
- reader
- シーケンスリーダへのポインタ.
関数cvStartReadRawDataは,ファイルノードからデータを読み込むためのシーケンスリーダを初期化する. 初期化されたリーダはcvReadRawDataSliceに渡すことができる.
ReadRawDataSlice
複数の数値のシーケンスを読み込む
void cvReadRawDataSlice( const CvFileStorage* fs, CvSeqReader* reader,
int count, void* dst, const char* dt );
- fs
- ファイルストレージ.
- reader
- シーケンスリーダ.cvStartReadRawDataで初期化する.
- count
- 読み込む要素数.
- dst
- 出力配列へのポインタ.
- dt
- 各配列要素の仕様.仕様はcvWriteRawDataと同じ.
関数cvReadRawDataSliceは,ファイルから,シーケンスで表現される一つまたは複数の要素をユーザ定義配列へ読み込む. 読み込むシーケンス要素の総数はcountと各配列要素の要素数の積である. 例えばdt='2if'の場合,この関数はcount*3のシーケンス要素を読み込む. リーダがcvSetSeqReaderPosで再配置されると, ファイルノードシーケンスの幾つかの部分は読み飛ばされるか,重複して読み込まれる可能性がある.